旧国鉄五新線(未成線)鉄道構造物群・新町高架橋
旧国鉄五新線(未成線)鉄道構造物群・新町高架橋
奈良県五條市新町1丁目11−3
「幻の五新鉄道」完成することなく、廃線となった高架橋
そのままの姿で残ってました。そんな場所があるんです。
明治末期、紀伊山地を鉄道で貫く大構想、五新線とは、奈良県の五條市と和歌山県新宮市を結ぶ鉄道として、奈良県南部の吉野川・熊野川流域は日本屈指の木材の産地、その輸送を目的として紀伊山地を貫くように南下するという計画でした。
昭和12年(1937)五條側から着工されました。吉野川横断の橋脚の完成、生子トンネルの貫通にまで至りましたが、第二次世界大戦による資材不足などで工事が中断、戦後、1957年(昭和32年)に工事を再開し、1959年(昭和34年)に五条駅から五條市西吉野町城戸まで路盤が完成した。
バス専用道として先行開業し、鉄道派とバス派の問題もおき、1979年(昭和54年)に建設予算が凍結され、更に国鉄再建法施行に伴って1982年(昭和57年)には工事自体も全面的に凍結、その頃には既に国道168号の整備が進んでおり、車社会が進展するなかで採算が見込めないことから、結局列車が走ることなく計画は断念され、未完成のまま列車が走ることなく断念された未成線なのです。
〒637-0043 奈良県五條市新町3丁目6付近
鉄道用の長さ5㎞のトンネルが大阪大学の「大塔コスモ観測所」として利用されています。映画ファンであれば、1997年(平成9年)にカンヌ映画祭カメラドール賞を受賞した映画「萌の朱雀」では、五新鉄道と西吉野の雄大な自然等が物語の舞台になり、2008年(平成20年)に上映された映画「花影」では、ロケ地。
「選奨土木遺産」構造物群について
・市民による路線敷地を使用したイベントが活発に行われていること。
・紀伊山地を鉄道で貫くという、大構想にかけた先人の志を
未来に語り継ぐ姿勢を感じることができること。
・未成線を利活用し、事業創出や雇用促進など地方創生の取組に着手していること。
・利活用の中で、構造物の老朽化インフラの維持保存技術の向上が期待できること。
などの点が評価され、社団法人土木学会から「選奨土木遺産」として認定されることが決定しました。
新町高架橋近くにある五條新町通りは、五條新町伝統的建造物群保存地区に指定されています。
江戸時代初期に、松倉重政により、五條藩の城下町として開かれた。松倉重政が肥前・島原藩に移ったため、五條藩は廃止されたが、その後は、大和南部の天領支配の中心地として五條代官所が置かれ、繁栄をつづけた。五條の歴史と共に発展した新町には、様々な年代に代表される建築様式が残されている。2010年(平成22年)に、重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。
一緒に観光がおすすめです。
五條新町:コラム「幻となった五新鉄道」|ますます訪ねたくなる奈良 (pref.nara.jp)
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